コンソーシアム運営

評価諮問会議提言

(2008年3月4日)杉森 みど里

1)連携事業の独自性と連携の在り方について

  1. [1]「千葉圏域コンソーシアム」は、「ユニバーサルコミュニケーション」概念を核として、国立・私立の4大学が連携するという事業である。第一にこの点において本事業の独自性を評価・期待することができる。
  2. [2] 連携にあたってはコンソーシアム参加各大学がそれぞれに特色を持った上で連携することが重要であると考える。本年度事業の成果として単位互換制度の確立が挙げられるが、共有コンテンツの開発だけでなく、各大学が特色を活かした教育をそれぞれ提供するという点にも留意することにより、連携の成果はより大きなものとなるのではないか。

2)地域社会との連携・地域貢献人材の育成について

  1. [1]「千葉圏域コンソーシアム」は地域社会と連携しつつ、地域社会に貢献しうる人材を育成する教養教育・生涯教育に取り組むとされている。この点について、単に地域社会と連携を深めるということだけではなく、地域とどのように連携するかということにも考慮を払う必要がある。すなわち、連携の形態や内容においても独自のモデルを示すことが重要であると考える。
     たとえばユニバーサルコミュニケーションは、観光と福祉にまたがる課題とされているが、近年その必要性が強く意識されつつある、障がい者等にも開かれた観光を検討対象にするなど、これらの要素を複合したプログラムを、成田空港のある千葉ならではのものとして構想できるのではないか。また、公開講座や市民講座などを計画する際にも、この点に留意することが有益なのではないか。
  2. [2] 連携事業には、3年間の事業期間において中長期的課題に向けた基盤整備をするという目的があるとされる。そうであれば、将来性を考えて発展的かつ現実的、また継続的に学生を支援できるプログラムを開発することに留意することが重要であると考える。
     たとえば現在、地域貢献活動を新鮮なものと受け止める若者が増えているようにも感じられるが、将来的にはこのようなことを十分に活かすプログラムも目標の一つと考えられるのではないか。

3)コミュニケーション能力を備えた人材の育成について

 多様な言語と文化の理解がユニバーサルコミュニケーション教養教育の教育課題に挙げられている。この点については、大学においてしか提供できない教育内容を追求する必要があるだろう。その意味で語学教育の場合には、少数言語の重要性に注意を払いたい。
 たとえばJICAなどの行っている日本の医療協力の現場では、現地語コミュニケーションの必要性が切実なものとなっている。ユニバーサルコミュニケーション教育が国際化に対応し、国際社会に貢献する人材の育成を含むのであれば、少数語教育の重要性を認識させることがその目的に適うのではないか。

4)教育効果を高めるFDについて

 ユニバーサルコミュニケーション教育の実施にあたっては、eラーニングシステムを活用するFD技法を開発するとされている。その際にはeラーニングを活用した教育活動をどのように質的に評価しうるのかということを考える必要がある。授業の効果を学生が実感することが、次の学習刺激になるからである。