評価諮問会議提言
(2008年3月4日)影山 美佐子
1)連携事業の独自性と連携の在り方について
- [1]「千葉圏域コンソーシアム」は、国立・私立の設置形態の枠を超えて地域に展開する取り組みであるとされる。多文化共生社会が目指されている中、それぞれの特色を持つ4大学の連携によって、地域の国際化に貢献していくことが期待できる。
特に、千葉大学のeラーニング、神田外語大学の外国語教育、敬愛大学の国際化教育、城西国際大学の観光・共生教育の融合については、次代を担う学生の育成だけでなく、地域社会と大学の連携を深めることのできる仕組みであると理解しており、この仕組みの構築と発展は地域活性化に大いに資するものとして期待される。 - [2]「千葉圏域コンソーシアム」は、「ユニバーサルコミュニケーション」概念を核として、中長期的教育課題に連携して取り組む事業とされる。ユニバーサルコミュニケーションの重要性を鑑みた際に、補助事業終了後10年後といった長期的成果にも期待したい。そのために連携の基盤として、共通プログラムの開発と同様かそれ以上に、3年後にそれぞれの大学の特色がさらに磨かれたものとなっていることが必要であると考える。
- [3] 各大学の特色を活かしつつ連携することによって、学生がその能力を高め続けることができるような仕組みを整理することにつながるならば、本取組は期待通りの成果を出せるものとなるだろう。
その際に、学生が社会とのつながりや国際化の重要性を意識するようになること、また、観光客や留学生を含めこの地域への来訪者に適切に対応できるようになることなどを、長期的な課題として意識することが必要であると考える。
2)地域社会との連携・地域貢献人材の育成について
「千葉圏域コンソーシアム」は地域社会と連携しつつ、地域社会に貢献しうる人材を育成する教養教育・生涯教育に取り組むとされている。この点について、単に地域社会と連携を深めるということだけではなく、地域とどのように連携するかという、連携の形態や内容においても独自のモデルを示せるようにすることが重要であると考える。
たとえば成田空港の存在と多数の在日外国人の存在を考え、成田空港などとの連携を模索することなどが考えられる。あるいは、アジア経済研究所(千葉市)の図書館は多彩で良質の教材を潜在的に大量に有しており、共通授業の開講などにあたっては、このような機関との連携がコンソーシアムの趣旨に合致するものとして模索できるのではないか。