変化する時代への対応
本学の特色は、(1)ゼミを必修化し、ゼミでのアットホームな雰囲気を通して小規模大学・少人数教育のメリットを最大限生かすこと、(2)「教育の敬愛」の実績を基に教職課程を置き、経済学部では「社会」・「地理歴史」・「公民」・「商業」・「情報」、また国際学部では「英語」・「社会」・「地理歴史」・「公民」の中高教員免許の他「小学校教員免許」を取得できること、(3)情報処理教育にも力を入れ、さまざまなIT関連の資格が取得できることにあります。両学部ともキャリア教育・就職支援を充実させ、就職率の高位維持、就職先の質的向上にも努力しています。
敬愛大学では、国際社会や日本社会の激しい変化に立ち向かうことができる青年を育てるために、これまでさまざまな教育改革を行ってきました。「千葉圏域コンソーシアム」事業において、本学が育んできたユニークな国際社会を理解する教育プログラムを基礎に、より洗練された科目の開発に努めていきます。
(1)国際学部の国際化教育
[沿革と教育の指針]
国際学部の前身は、1990年4月に佐倉キャンパスに開設した千葉敬愛短期大学国際教養科で、これを1997年に敬愛大学国際学部国際協力学科として拡充・発展させました。毎年約200名の学生を受け入れ、これまでに総勢約2800名を社会に送り出しました。さらに、2007年4月から国際協力学科をより幅広い国際学科とし、国際学専攻と地域こども教育専攻(小学校教員養成課程)から構成することとしました。
[1] 国際学専攻・・・・・国際ビジネス、社会/政治、英語/英米文化の3コース
グローバル化する社会・経済の変化に対応できる力を養成。国際社会についての幅広い知識、異文化との共存ができる柔軟な思考力、英語検定・TOEIC・日本語教員養成などに力を入れています。
[2] 地域こども教育専攻
教育現場の国際化に充分に対応できる小学校教員(1種)を養成。教職課程のみならず国際関係論、異文化コミュニケーション論、レベル別英語など、国際学専攻と共通の科目群を受講できます。
国際学部の教育指針は、地域社会の国際化を担う人材の養成に向けて、世界の恵まれない人びとへの限りない共感と地球上の平和を希求する国際人を育成することにあります。
また、国際社会を身近なところから学び、世界は互いにつながっている、困っている人がいれば少しでも役立つことを試みよう、というのが敬愛の国際学、国際協力の精神です。
[教育方法の3つの柱]
[1] 地域研究:
世界の国々や諸民族、人類共通の課題への関心を高め、言語・宗教・政治・経済・社会・歴史のさまざまな分野から<地域>を総合的に探求する態度を身につけます。(カリキュラムには地球を一回りする位の多様な地域研究、それらの地域と日本の関係を学ぶ科目群が揃っています。また国際社会を構造的に理解するための専門科目も豊富です。)それを通して、異文化への理解と共存の精神を育みます。
[2] 実践的教育:
ボランティア活動、海外スクーリング、語学研修、フィールドワーク、IT技術によるデータ解析実習など、実践を通して学ぶことを重視します。(小規模学部ながら、教室で学んだことを教員が企画・引率して海外で研修させる「海外スクーリング」の場は、中国、台湾、韓国、ベトナム、カンボジア、フィリピン、トルコ、スイス、フランス、アメリカ、ブラジルなど11ヶ国以上に及びます。また語学研修はオーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アメリカ、中国に長期留学制度を提供しています。)
[3] 国際色豊かなキャンパス:
世界各地からきた留学生とともにキャンパス・ライフをすごす中から、異なる文化の共存の仕方を自然に身につけていくことができます。被災地域の人々への活発な支援活動、民族色華やかな大学祭、きめ細かな少人数ゼミを通して、日常的に生の国際社会や民族文化に触れることができます。(留学生は学生の約半数ほどを占め、中国、韓国、モンゴル、台湾、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、ラオス、スリランカ、バングラデシュ、ネパール、ウクライナ、ロシア、カナダなどの出身者です。)
*最近の新しい動き
千葉学と新アグリビジネス・教育プログラム
千葉圏域に貢献する人材を育てるために、新しい「千葉学」をカリキュラムに採り入れました(房総の自然と環境、房総の歴史と文化、千葉の経済構造、千葉経済特殊などの科目)。とりわけ農業県である<千葉>を多角的に理解した上で、国際的視野から「日本人の食・農のあり方」を問い直そうと考えています。その上で、地域の視点から、新しい農業経営や食の未来に取りくみます。現在を変革の時代ととらえて、千葉に立地する本学の国際学部ができることを、探求し始めました(新アグリビジネス・教育プログラム)。
地元の環境・農業関連グループ、先端的なバイオ知識を使って環境教育を試みる大学院生グループ、ITやマーケティングの新しい応用に挑戦する農園会社等とのネットワークを構築しながら、農業への偏見が根強い若者や近隣の途上国出身の留学生に向けて、先進的教育プログラムを開発したいと考えています。世界の食糧/環境・農業/農村の諸問題に関する従来型の講義のみならず、<千葉>をフィールドにしたさまざまな野外実習、現場の仕事人による講義などを実験的に採り入れ、多彩な授業を試みようとしています。
国連グローバル・コンパクトへの参加
敬愛大学国際学部は、日本で唯一、国連グローバル・コンパクト・アカデミックバージョンに参加する学術団体です。国連のグローバル・コンパクトの趣旨に添って、「人権」・「労働」・「環境」・「腐敗防止」の4分野で、CSR(企業の社会的責任)を実践できる人材育成のためのカリキュラム、教材、ツールの開発に努め、また広く社会に対する啓蒙活動を企画する予定です。
<国連グローバル・コンパクトとは?> 1999年に当時のアナン国連事務総長の下で唱えられた国連による企業活動への提唱。企業は自発的に市民社会の一員としての責任と役割を果たすべく行動することが求められています。「アカデミック・バージョン」に参加した学術機関は、将来の責任ある専門家・ビジネスリーダー等育成のための新たな教材、ケース・スタディ、専門的ツール、能力、技能などを開発することをめざします。
<卒業生の声を聞いてみましょう>
京葉工業地帯の製鉄会社に16年勤務しています。入社以来、社内広報の仕事に配属され、取材・編集に飛び回ってきました。社内報の全国コンテストで優勝した事もあります。頼もしい後輩も入社し、今も毎日充実した毎日です。会社には今、アジアへの進出の動きがあります。国際的視野で物事を考えることを学んだ学生時代を思いおこし、とても楽しみです(短大国際教養科1期生の山内有里さん)
卒業後しばらく企業で仕事をした後、フレスコ画の修復技術を学びにフィレンツェへ旅立ちました。イタリア暮らしはもう10年に及びますが、伝統技術を少しずつ習得するなかで、その充実感を味わっています(短大国際教養科2期生の萩原紀子さん)。
僕は成田空港で貨物を扱う会社に就職しています。学生時代にオーストラリアの国立ウーロンゴン大学に8ヶ月留学したことで、移民の多い多文化主義の国の面白さを肌で感じることができました。今でも友だちの国のニュースがあれば、興味を持って真剣にみます(国際学部2期生の秋元裕伸さん)。
学生時代にアジアの国々の文化に興味を持ち、カルカッタの孤児院へ毎年ボランティアに出かけていた私は、念願かなってJICAの青年海外協力隊員としてガーナで活動しました。フィリピンのメトロマニラのゴミ山で働く子どもたちを支援するNPO団体でも働きました。私の願いは、アジア・アフリカの人びとと対等な立場で一緒に仕事をしていくことです(国際学部1期生の平野志穂さん)。
(2)経済学部の教育改革
[沿革と教育の指針]
経済学部は1966(昭和41)年に千葉敬愛経済大学経済学部経済学科として開学され、これまで42年間に約1万人におよぶ青年たちを着実に社会に送り出した実績があります。卒業生は、千葉とその周辺の地域経済を担う中核的経済人として活躍しています。小規模ながら、まさに地元千葉の定評ある大学として、地域社会に貢献してきました。
経済学部のカリキュラムは経済系と経営系から構成し、2009年度から2系7コース制とします。中でも、公務員を目指す「公共サービス」、金融機関への就職を目指す「金融・証券」の新設2コースは他大学では見られない注目すべきコースといえます。
[1] 経済系4コース・・・日本・世界経済、環境・福祉、公共サービス、金融・証券
[2] 経営系3コース・・・経営・会計、ビジネス情報、現代産業
[教育の5つのポイント]
[1] 4年間必修のゼミナール
学生と教員がお互いの顔を見て学ぶ教育を重視し、ゼミナールは4年間必修です。2年次に経済系・経営系いずれかを選択し、4年次の卒業論文執筆までに段階的に経済学の勉強を深めます。
[2] 情報処理教育や補習教育による基礎学力の向上
コンピュータ・情報リテラシーの養成から実践的なスキルの習得まで幅広い科目を学べます。また2009年度入学生より補習教育に特化した国語(口語表現と文章表現)と数学(基礎数学)の科目を履修し、英語の習熟度別学習と併せて基礎学力の向上を図ります。
[3] 2系7コース制による経済専門科目学習への段階的教育の実践
早い段階から自分自身の将来のビジョン・目標を意識した計画的な学習を促すため、2年次に2系およびコースの選択をして、学習モデルにしたがった系統的学習をすすめていきます。
[4] 実務経済人講師や寄付講座による実践的な授業も展開
一部の専門科目には、企業でのビジネス経験豊富な方を「実務経済人講師」としてお招きして授業をすすめています。また、日興コーディアル証券の寄付講座も開講して経済・経営の現場感覚を体験できます。
[5] 5教科の免許を取得できる教職課程
教職課程では、中学校1種「社会」、高校1種「地理歴史」「公民」「商業」「情報」の3系統5教科の教員免許を取得できます。複数の教員免許の取得も可能です。
<ふたりの卒業生を紹介します>
学生時代に簿記・会計の勉強サークル「特別会計指導室」に通いました。郵便局(株)に勤めることができたのはそのおかげです(金沢恭子さん)。
僕は「金融研究会」に所属して、いつも誠心誠意をもって人と接することの大切さを教えられました。念願の金融機関に就職できたので、これからは「最良のサービス」をめざして頑張ろうと思っています(清水貴宏さん)。